(C)インターネットランド /小学校/3年生、4年生、5年生、6年生/国語/

「完璧読み」で挑戦意欲を刺激する

浅川 清(TOSS相模原)

子ども達が熱中する音読のさせ方のひとつである。                        
一、二度実施すると、次からは「完璧読みコール」が起きるようになる。
以下にやり方を示す。   

 

(1)「完璧読み」とは、どういう読み方なのかを話して聞かせる

指示1
 今から完璧読みをします。完璧読みというのは、完璧に読むということです。一文字もまちがえてはいけません。つっかえたり、読み直したりするのもダメです。「、」以外のところで間を空けるのもダメです。ゆっくり過ぎるのもダメです。スラスラと流れるように、完璧に読むのです。

 
 子ども達は「わあ、難しそう!」と言いながら、のってくる。

(2)範囲を指定し、練習時間を取る

指示2
 今日は、4ページの1行目から5行目までを完璧読みします。1行目から5行目までだけでいいのです。完璧に読めるようにしなさい。練習時間を3分あげます。用意、始め。

 
 どの子も、集中して音読練習を始める。そのうちに何人かの子が「先生、ここは○○○と読めばいいんですか?」と、読み方を確かめにくる。完璧読みの練習中ならではの現象である。

(3)合格者数を予想し、子ども達の挑戦意欲をあおる

 3分たったら、次のように話して 子ども達を挑発する。

指示3
 今から5の列の人に読んでもらいます。先生の予想を言います。5の列で合格する人は(ここでちょっと間を空け、次に力をこめて断定的に)1人です。合格する人が1人よりも多かったら、みんなの勝ち。少なかったら、先生の勝ちです。

 
 合格者数の予想は、「少なすぎるかな?」と思うくらいで、ちょうどいい。初めは「先生の勝ち」の方がいいのである。

(4)指定した範囲を読ませ、判定する

 「ようし、やってやろうじゃないか」という顔になっている子ども達。緊張しながらも張り切って読み始める。しかし、多くの子は、1行目か2行目でまちがえる。たったの5行程度の文章でも、一文字もまちがえずに読める子は意外に少ない。稀に一文字もまちがえずに読める子がいても「、」以外のところでは間を空けないという規準に引っかかる。つい「、」以外のところで一息ついてしまうのである。

 かくして初めての完璧読みは、合格者ゼロという結果に終わることが多い。

 「けれども」というより、「だから」子ども達は燃える。「もう一度やらせて!」と言ってくるのである。1回目は合格者ゼロでも、2回、3回と続けていけば、必ず合格者は増えてくる。

 難しいからこそ子ども達は燃え、難しいからこそ合格の喜びも大きい。

 

 完璧読みの効用は次の3点である。
@どの子も集中して音読練習に取り組む。
A黙っていても、漢字の読み方などを確認するようになる。
B音読が苦手な子も挑戦し、逆転現象が起きる。

 

 完璧読みの、もう一つの効用は、黙って聞いている子も集中して教材文を目で追って読むようになることである。「完璧かどうか」確かめるために、目で追うからである。                

 1班は1行目から5行目まで、2班は6行目から10行目までというように、列毎に読む範囲を変えてやれば、ある程度の長さの教材文を「全員が読み込んだ」という状態にすることができる。     

 

 留意点は次の2点である。
@指定する範囲は二、三行から一ページ程度にする。(あまり長いと聞いている子達がだれてくるし、挑戦する子が限られてくる。)
A不合格の判定は「残念!」と笑顔で明るく。

 

 「ぐっと短い範囲で、完璧な読み方」を要求するから、
 「できそうで、できない」課題となり、子ども達の挑戦意欲を刺激するのである。 
  

TOPページ ご意見・ご感想 TOSSランド TOSS相模原