「ブザー読み」で集中させる
浅川 清(TOSS相模原)
研究授業などで、子ども達に教材文を一斉に声をそろえて読ませている場面を、よく見かける。
何の手だても取らなければ、途中で子ども達の集中力は途切れ、読み方にも進歩は見られない。
一斉に読ませながら、読み方を向上させる「ブザー読み」という方法を、紹介する。
まず、子ども達に次のように告げる。
「大きなかぶ」を、初めから読みます。
ただし読み方が悪いと、途中でブザーが鳴るかも知れませんよ。」
子どもたちは、元気に読み始める。
「ちゃんと読めるもん。」
と、自信ありげに読み進めていく。
「うんとこしょ、どっこいしょ。」
という会話文が、何回か出てくるのであるが、2回目の
「うんとこしょ、どっこいしょ。」
を子ども達が読んだ時、ストップをかけた。
ブッブー。
なんでブザーが鳴ったか分かる?
一つ目の「うんとこしょ、どっこいしょ」は、おじいさん一人分の声だけど、みんなが今読んだ「うんとこしょ、どっこいしょ」は、何人分の声?
子ども達は、元気に答える。
「二人分!」
そうだよね。だから二人分の声で読まなきゃ。
では、58ページの3行目の「おじいさんを」から、サンハイ。
子ども達は、二つ目の「うんとこしょ、どっこいしょ」を、前より声を張り上げて読む。
「上手!」
と、すかさずほめて、次を読ませる。
この後、子ども達は、二つ目よりは三つ目、三つ目よりは四つ目と、声を大きくしながら読み進む。教師に指摘されなくとも、自分達で気づいて、そのように読む。
「いいよ!上手!」
と、声をかけながら進める。
「まだまだ、かぶはぬけません。」
という部分を、子ども達が明るく、軽く読んだ直後に、2度目のブザーを鳴らした。
ブッブー。4人もいっしょになって抜こうとしているのに、「まだまだ」抜けないんだよね。そんなにうれしそうに、そこのところを読んでいいの?
と、言いつつ教師が殊更に明るく軽く、
「まだまだ、かぶはぬけません。」
と、読んで見せる。
「ちがう、ちがう!」
と、子ども達は首をふる。
じゃあ、「まだまだ」抜けないくやしさが伝わってくるように読んでごらん。
60ページの「まごをいぬがひっぱって」から、サンハイ。
子ども達は、「まだまだ、かぶは抜けません。」を、くやしそうな表情と声で読む。
「前より、ずっといい!」
と、力強くほめて、次へ進む。
ブザー読みのメリットは、次の2点である。
@一斉読みが、緊張感を保って進められる。
A読み方を向上させることができる。
留意点は、次の1点である。
@テンポよく、きびきびと進めること。
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