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「漢字の歌」で漢字文化の授業

浅川 清(TOSS相模原)

 「明日という字は明るい日と書くのね」で始まる歌をご存じだろうか。昔、昔のアン真理子の歌である。

 「糸へんに半分と書いて絆と読みます」という歌をご存じだろうか。昔、昔のもうひとつ昔のダークダックスの歌である。

 ふたつとも、「漢字文化の歌(?)」である。授業に使わないという手はない。

 以下、5年生での実践を示す。

 

指示・1  (黒板に「明日」と書き)
この字を見て、気づいたこと、考えたこと、思ったこと、何でもいいからノートに箇条書きで書きなさい。

 

 2分後、指名なしで、どんどん発表させた。

◇「日」の間に「月」が挟まれている。

◇「日」と「月」で、できている。

◇「明日」は「明るい日」なのだろうか。

 子ども達の発表が途切れたら、アン真理子の「悲しみは駆け足でやってくる」の冒頭部分を聴かせた。


♪明日という字は明るい日と書くのね〜♪
♪あなたと私の明日は明るい日ね〜♪

 

 「へ〜、そんな歌があったの!」

と、子ども達はびっくりしていた。

 「2番もあるんですよ。さあ、どんな歌でしょう?」

と、期待を持たせ、次のように問う。


発問・1 
2番の歌詞には「若い」という字がでてきます。
(「若いという字は□□□字に似てるわ」と板書し)
この□□□のところに当てはまる言葉は何でしょう。

 

 指名なし発表で、どんどん予想させた。                             
意見が出つくしてから、2番の冒頭部分を聴かせた。


♪若いという字は苦しい字に似てるわ〜♪
♪涙が出るのは若いというしるしね〜♪

 

 子ども達は、感心して(呆れて?)聴いていた。

 「実は、まだ他にも漢字の歌はあるんですよ。ダークダックスというグループの歌です。」

と、言いつつ、黒板に「絆」と書いた。


発問・2 
今度の歌には、絆という字が出てきます。
(「□に□と書いて□と読みます」と板書し)
□の中には、どんな漢字が入るでしょうか。推理してみなさい。

 

 子ども達は、すぐに「糸へんに半分と書いて絆」だと言い当てた。

 「当たり!では、1番を聴いてみましょう。」


♪糸へんに半分と書いて絆と読みます〜♪
♪お互いに半分ずつの糸を結び合うからです〜♪

 

 2番も同様にして進めた。


♪人べんに半分と書いて伴うと読みます〜♪
♪人はみな半人前が二人道連れだからです〜♪

 

 ここまで進めてから、「漢字の歌」作りに入った。

 机の上の辞書を引きながら、子ども達はノートに「漢字の歌」を書いていった。

 子ども達の作品を紹介する。

娘という字は良い女の子と書くのね。
きっといつまでも良い女の子でという意味なのね。

自学という字は自分で学ぶと書くのね。
自分から進んでするのが自学なのね。

 
時間という字は時の間と書くのね。
時と時の間に時間ができるからなのね。

 
氷という字は水の字に似てるわ。
氷ができるのは水があるからだわ。

 
仁という字は仏の字に似てるわ。
仏の心は仁愛という意味なの。

 
人に木と書いて休むと読みます。
人がゆっくり木のそばで休むからです。

 
力に少しと書いて劣ると読みます。
力が少し足りないと劣るからです。

 
木に木と書いて林と読みます。
木が並んでいるから林です。

 
木に春と書いて椿とよみます。
椿の花はあたたかい春に咲くからです。

 
女に子と書いて好きと読みます。
女の人が子どもを愛するからです。

 
草かんむりに化けると書いて花と読みます。
草のつぼみが化けて花になるからです。  

 


 この授業のポイントは、

ふたつの歌の「原曲をテープで聴かせる」
 
ことである。
 

 「こんな歌が本当にあるんだ!」という新鮮な驚きが、漢字への新たな興味関心を引き起こす。

 私自身、「絆」を偶然耳にした時、「これはおもしろい!」「これは使える!」と思ったものである。

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