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フォークソングで分析批評の授業  【中学年・高学年向き】

浅川 清(TOSS相模原)

(1)「バラが咲いた」の「バラ」って何?

 テレビで、年齢を重ねたマイク真木が「バラが咲いた」を歌っているのを見た。久しぶりに聞く「バラが咲いた」だった。
「何ていい歌なんだ」と思った。子ども達にも歌わせたいと思った。
 歌わせるのなら、「バラ」の意味を捉えさせなきゃと、分析批評の授業をした。

 以下に授業の様子を紹介する。

指示・1
 (「バラが咲いた」の歌詞を書いたプリントを配り)全員起立。
声に出して3回読みなさい。読み終わったら、座ってもう1回読んでいなさい。

 バラが咲いた

  バラが咲いた バラが咲いた 真っ赤なバラが
 さみしかった僕の庭に バラが咲いた

 たったひとつ 咲いたバラ 小さなバラで
 さみしかった僕の庭が 明るくなった

 バラよ バラよ 小さなバラ
 いつまでも そこに咲いてておくれ

 バラが咲いた バラが咲いた 真っ赤なバラで
 さみしかった僕の庭が 明るくなった

 バラが散った バラが散った いつの間にか
 僕の庭は前のように さみしくなった

 僕の庭の バラは散って しまったけれど
 さみしかった 僕の□に バラが咲いた

 バラよ バラよ □のバラ
 いつまでも ここで咲いてておくれ

 バラが咲いた バラが咲いた 僕の□に
 いつまでも散らない 真っ赤なバラが


発問・1 
いくつの連で、できていますか。
連の番号を@ABというように書き込みなさい。

 一斉読みをしながら、8つの連で、できていることを確認する。

発問・2 
この詩を2つに切るとしたら、どこで切りますか。
プリントに線を引きなさい。

 
 1分後、2〜3人に発表させ、4連と5連の間で切れることを確認する。


発問・3 
では、なぜそこで切れるのですか。
わけをノートに箇条書きで書きなさい。

 2分後に指名なしで発表させる。

  ○8連のちょうど半分が4連だから。

  ○4連までは、ずっとバラが「咲いた」だけれど、5連で初めて「散った」が出てくるから。


発問・4 
3つの□の中には、全部同じ言葉が入ります。
何という言葉が入るでしょうか。
わけと一緒にノートに書きなさい。

 2分後に指名なしで発表させる。

「心」とか「気持ち」と書く子が多かった。

○「散った」のが、また「咲いた」なんて、物ではないから。

○「そこ」ではなく、「ここ」で咲くものだから。


発問・5 
「心に咲いたバラ」って何ですか。
ノートに書きなさい。

 

 ノートに書けた子から、持って来させ、重複しない考えを板書させた。

 「絶対におかしいと思うものがあったら言いなさい」と指示し、板書された答えの適否を吟味させた。 子ども達からは、次のような答えが支持された。

  ○明るく幸せな気持ち

  ○希望

  ○勇気


説明・1 
この歌の中の「バラ」は、「明るく幸せな気持ち」や「希望」や「勇気」を、 「象徴」しているといいます。

 ここまで学習が進んだら、この後はぜひギタバ〜ラが咲いた〜ーを弾いて、歌いたい。

 超下手なギターでも、「♪バ〜ラが咲いた〜♪バ〜ラが咲いた〜♪」と歌えば、気分は最高!

 お試しあれ!

 

(2)「君のゆく道」の「道」って何? 
 
                            
「バラが咲いた」で「象徴」を教えたのなら、この歌も授業しなきゃ片手落ちよ!という歌がある。
 ブロード・サイド・フォーの「若者たち」である。

 以下に授業の様子を紹介する。


指示・1 
(フォークソング「若者たち」の1番と2番の歌詞だけを、次のように板書し)
 黒板のとおりに書き写しなさい。

 

 若者たち

 君のゆく道は はてしなく遠い
 だのに なぜ 歯をくいしばり
 君はゆくのか そんなにしてまで
 君のあの人は 今はもういない
 だのに なぜ 何をさがして
 君はゆくのか あてもないのに

 

発問・1 
この詩を2つに分けるとしたら、どこで切りますか。
ここで切れるというところに、線を引きなさい。

 1分後、2〜3人に発表させ、3行目と4行目の間だということを確認する。


発問・2  では、なぜそこで切れるのですか。わけを書きなさい。

 2分後、指名なしで発表させた。

  ○3行ずつ、まとまっているから。

  ○3行目までは「道」のことで、4行目からは「人」のことだから。

○「君の・だのに・君は」の繰り返しになっているから。


発問・3 
「道」とは、何のことでしょう。
ノートに自分の考えを書きなさい。

 ノートに書けた子から、持って来させ、重複しない考えを黒板に書かせた。

「絶対におかしいと思うものがあったら言いなさい」と指示し、板書された答えの適否を吟味させた。  子ども達からは、次のような考えが支持された。

  ○苦労して挑戦すること           

  ○これから先の将来          

  ○人生の道            

  ○夢の実現に向かう道


説明・1 
「道」は、「挑戦」や「将来」や「人生」や「未来」を「象徴」している言葉です。
「バラが咲いた」の「バラ」と同じく、目には見えないものを、目に見えるもので表している言葉です。
 

発問・4  「あの人」とは、どんな人のことでしょう。
 
 と、聞くやいなや、6年生の子ども達は「恋人!」と口々に答えた。


発問・5 
話者は、若者に「ゆくな」と言っているのですか。それとも「ゆけ」と言っているのですか。ノートに自分の考えを書きなさい。

 

 2分後、指名なしで討論させた。

  「ゆくな」派の根拠

  ○「今はもういない」のだから、やめろと言っている。

  ○「はてしなく遠い」のだから、やめなさいと言っている。

  ○「あてもない」のだから、やめろと言っている。

  「ゆけ」派の根拠

  ○「歯をくいしばり」ながらがんばっているんだから、応援しようとしている。

  ○「君はゆくのか、そんなにしてまで」と感心し、それならがんばって進めと言っている。

  ○題が「若者たち」なんだから、若者ならゆけと言っている。

 意見が途切れたところで、3番の歌詞を板書し、視写させた。

 子どもたちは、「やっぱり!」とか「希望へ続くのか」とか言いながら、書いていた。

 君のゆく道は 希望へと続く
 空に また 日が昇る時
 若者は また 歩き始める

  

 この授業の後、何度か「若者たち」のCDをかけ、メロディーを耳から覚えさせた。

 CDの歌声に合わせて歌う練習を3回程重ねた頃には、上手に歌えるようになった。

 おまけに、結構気に入ってくれたようである。
 

 卒業式の日の教室で、最後の授業参観で、出立パーティーの中で、この歌をギター伴奏で歌わせたい。

 「それぞれの夢に向かって進め」というメッセージをこめて。

 フォークソングで「象徴」を教えたからこそ、できることである。

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