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「さる・るるる」で言葉のおもしろさを発見させる 【全学年・可】

浅川 清(TOSS相模原)

 「さる・るるる」という絵本をご存じだろうか。

 正確には、「さる・るるるone more」、五味太郎作で絵本館から出ている。

 とにかく楽しい本である。特にラストのどんでん返しというか、オチがいい。一読したら、授業がしたくなる本である。

 さっそく、授業をしてみた。以下に、その様子を紹介する。

準備・1 
     @見開きの状態にして、全ページの拡大コピーをとる。B4かA3サイズがよい。
     A絵の部分に色をぬる。(カラーコピーにすれば、この手間はいらない。)
     B文字の部分を黒くぬる。
     C文字の部分を隠すカバーになる紙をセロテープで取り付ける。

 

準備・2 4つ切り画用紙に、平仮名の50音表を書いておく。
 


 授業の初めに、まず、こう問いかけた。

言葉っておもしろいなと思う人?いたら手を挙げてごらん。
 
 戸惑ったり、苦笑したりする子が多く、手を挙げる子はほとんどいなかった。

先生は、言葉ってとてもおもしろいと思っています。
今日はみなさんに、おもしろい言葉の問題を出しますよ。

黒板に
と書いて、最初の指示をした。

 

指示・1 2つの平仮名でできていて、2文字目が「る」になる言葉を見つけなさい。
     見つけたら、ノートに書きなさい 

 1分後、列指名で数人の子に発表させる。

 「よる」「ある」「さる」「とる」「ねる」などが発表された。

 「よく見つけたね」とほめ、次の指示をする。

指示・2 さあ、今度はできるだけたくさん見つけてノートに書いてごらん。
     時間は2分間です。

 
 指を折りながら考える子、目を宙に据えながら考えている子、どの子も学習に集中してくる。

 2分後、いくつ書けたかを挙手で確かめ、少ない子からひとつずつ発表させた。

 出つくしたところで、次のような問いかけをした。

さて、日本語には
となる言葉が、全部でいくつあると思いますか?


 予想させた後で、準備・2で用意した50音表を黒板に貼った。そして、

「ある」いいね。条件に合ってる!
「いる」これもいいね。
「うる」あっ、これもいい!
「える」こういう言葉もあるね。
「おる」これもあった!

 
と言いながら、50音表の平仮名に、次々に赤い○をつけていった。

 ○をつけ終えた時、どの子も驚いた顔をしていた。(実は、これが快感なのです。)

 ここで、「さる・るるるone more」の本を見せ、

ここに、こんな本があります。1ページ目は、こんなふうになっています。
 
と言いつつ、準備・1で用意した物のうち、最初のページの紙を黒板に貼る。            
 このページだけは、文字の部分を隠さないでおく。

 さあ、最初のページは「さる・へる」です。
 このおさるさんは、おなかがすいたんですね。

 
と、軽く扱って、次へ進む。

 5年生に授業した時は、ここで早くも

「あっ、2文字だ!」

「2文字目は『る』だ!」

という声が、あちこちから聞こえてきた。

 そこで、おもむろに2ページ目を貼る。

 ここからは、文字の部分は隠してある。

さあ、ここには何と書いてあるのでしょう?
 
と、隠した文字のあたりを指しながら問う。

 つぶやきの中から正解を拾い上げて次へ進む。

 3ページ目の答えは、分かった子が立って発表する

ようにし、答えが出つくしたところで

何と書いてあるかな?さあ、見てみよう。 

と、文字を隠しているカバーを取って、見せる。

 4ページ目、5ページ目、6ページ目も同様に扱う。

 7ページ目と8ページ目は、

さあ、だんだん難しくなってきましたよ。
これが分かった人はすごいです!
分かった人は前に出て発表して下さい。

 
と、挑戦意欲を刺激する。

 正解が出たら、「大正解!すごい!」と讃える。

 低学年に授業する時は、ヒントを出しながら進める。

 9ページ目と10ページ目は最も難しいので、

ノートに答えを書いて、見せにいらっしゃい。
 
と、指示した。

 自力で答えを発見する喜びを保障するためである。

 正解に辿り着いた子は大喜びし、まちがえた子は口惜しがりながらも、あきらめず、何度もノートを見せに来た。

 11ページ目の紙を貼る前に、次のように言う。

おさるさんの、おなかがへりました。
でて、つって、ほって、きって、にて、ふって、 もって、こって、自信作ができました。
どんなもんだいと体を反らせてじまんして、 さあ、次はどうなったでしょう?

 
と、今までに貼ったページを順に指しながら

これまでのストーリーをたどってみせてから

11ページを見せる。

 「アーッ!」と驚き、次に笑い出す子ども達、この反応が、また快感なのです。

 正解を押さえ、12ページ目を貼る。

 最初のページから、全員で声をだして読ませ、

12ページのさるの背中に漂う哀愁(!)をじっくりと味わわせたら、最後に問う。

ねえ、ところで言葉っておもしろいと思わない?
 
 「思う!」

 ※なお、この授業はTOSSランドの子ども向けサイトにも入れてある。

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