「赤とんぼ筑波に雲もなかりけり」
浅川 清(TOSS相模原)
分析批評による俳句の授業です。 二者択一型の質問で討論ができます。 2時間でできます。
指示1 この句を読んで気づいたこと、考えたこと、 思ったことを箇条書きにしなさい。
「赤とんぼだから季節は秋かな」という発表を取り上げ
と問う。 ○秋
と、更に問う。 ○赤とんぼ ※やさしい問いであるが、発問・5の伏線として あとで生きてくる。
発問2 この日の天気は?
○晴れ ○快晴
○雲もなかりけり ※この問いも、発問5の伏線として あとで生きてくる。
発問3 話者の視線は上向きか?下向きか?
○上を向いている。
○「雲もなかりけり」と分かるのは、上を向いていたから。 ○「赤とんぼ」がとんでいるのを見ていたから。 ○「筑波山」の方を見ていたのだから。 ※この問いも、発問5の伏線としてあとで生きてくる
発問4 対比されているのは何と何?
※まだ対比の学習をしていない子ども達だったら、 ここで「対比」の意味を例を挙げて説明する。
ノートに書けた子から、次々に板書させる。 ○「山」と「赤とんぼ」 ○「赤とんぼ」と「雲」 ○「青空」と「赤とんぼ」 板書されたものについて吟味させる。 ○「雲」は「なかりけり」だから「赤とんぼと雲」と いうのはおかしい。 ○「青空と赤とんぼ」と言うが、別に「青空」じゃなくてもいい。 「夕やけ空」でもいい。
発問5 この句の空は青空か?夕焼け空か?
まず、どちらだと考えるかをノートに書かせる。 挙手で、両派の数を確かめたあと わけを箇条書きで書かせる。 「青空派」と「夕やけ空派」で討論させる。 「夕やけ空派」からは、次のような意見が出た。 ○「赤とんぼ」は、夕方によくとぶから。 ○「赤とんぼ」には、「夕焼け」のイメージがあるから。 ○「夕やけ小やけの赤とんぼ」という歌があるから。 ○晴れの日の夕方と考えれば「夕やけ」でもいいから。 ○赤い夕やけの中に黒いシルエットになった赤とんぼなら 対比になっているから。 「青空派」からは、次のような意見が出た。 ○「雲もなかりけり」というのは、「雲がひとつもない」という ことだから真っ青な空でなければ、おかしい。 ○この句は秋で秋晴れということばがあるくらいだから「青空」。 (※発問・1が生きている) ○さっき快晴だということをみんな認めましたよね。 普通、夕やけの空を「快晴」とは言いません。 (※発問・2が生きている) ○さっき話者は、上の方を向いていると、みんな考えましたよね。 夕焼けは、上の方じゃなくて、地平線の近くで見えます。 上の方に見えるのは、やっぱり青空です。 (※発問・3が生きている) ○「赤い」とんぼのバッタは、やっぱり「青い」空でなければ 両方が目立たない。 (※発問・4が生きている) ○「赤」と「青」の方が「赤と黒」より、はっきりしていて きれいな対比です。
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