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学芸会脚本
〜変身〜

浅川 清(TOSS相模原)

  場面・1
(人気アニメの変身場面の絵か写
真を、OHPで舞台奥の壁に投影
し、主題歌を流す)
ナレーター
変身!かっこいいですね。みなさ
んも、あんなふうにかっこよく変
身してみたいと思いませんか。
あっ、見て下さい。あそこにも変
身したがっている子どもたちがい
ますよ。
(あきら、さとし、まさやの3人、
変身ごっこをしながら登場し、し
ばらく舞台中央で、そのまま遊ぶ)
あきら
おい、もうやめようぜ。
さとし
どうして?もう少しやろうよ。
あきら
やめ、やめ!いくら「変身!」な
んて言ったって、おれたち、ちっ
とも変わってないんだ。つまんな
いよ。
まさや
そう言えばそうだな。
こう「変身!」って言えば、本当
にウルトラマンかなんかになれれ
ばいいのに。
神様
(神秘的な感じのするBGMにの
って、ゆっくりと登場)
天の邪鬼
(神様の後ろにくっついて登場し、
そのまま後ろにくっついて立って
いる)
神様
(重々しく)こどもたち。
こどもたち(後ずさりしながら)は、はい!
神様
変身がしたいと言っていたな。
あきら
はい
神様
お前達にも変身はできる。
天の邪鬼
(神様の後ろから、ひょこっと顔
だけ出し)できっこないじゃない、
そんなこと!
(言い終えると同時に、また神様
の後ろにかくれる)
まさや
(神様に向かって)本当ですか?
神様
本当だとも。変身は、今すぐにで
もできる。
天の邪鬼
(また神様の後ろから、ひょこっ
と顔を出し)うそばっかり!
神様
(天の邪鬼には少しもかまわず)
お前達に変身したいという気持ち
さえ、あればな。
天の邪鬼
そんなこと言っちゃっていいの?
さとし
(あまのじゃくは無視して、神様
に向かって)どうすればいいんで
すか。教えて下さい。
神様
よろしい。では、今からこの舞台
の上をよ〜く見ていなさい。
本当に変身した子どもたちを見せ
てあげよう。
天の邪鬼
ほ〜、見せてもらおうじゃん。
(舞台の端に座りこむ)
(3人の子どもたちも、舞台から
下りて客席に座る)

場面・2
(洋子・公子・沙織の3人が登場
し、開脚とびや側転の練習を始め
る。洋子だけ、うまくできない)
洋子
私って本当にぶきっちょだなあ。
自分でもいやになっちゃう。とび
箱もできないし、側転もできない。
何をやってもダメ。
公子
ちょっと洋子さん。とばないのな
ら、そこどいて。
洋子
あ、ごめんなさい。
沙織
(公子に)ちょっと、かわいそう
よ、そんな言い方。もう1回練習
させてあげたら?
公子
いいのよ。洋子に限って、何回練
習したってムダよ。洋子は完璧な
運動音痴、つまりウ・ン・チなん
だから。
沙織
(思わず吹き出し)ひどい言い方!
でも、言われてみればそうかもね。
洋子
じゃ、いくら練習してもムダ
かも。
公子
そうでしょ。さあ、洋子なんかほ
っといて練習、練習。
(公子と沙織、練習を始める)
(5秒後、舞台を暗くし、洋子に
スポットを当てる)
洋子
私は「運動まるでダメ子」です。
今まで、ずっとそうでした。そし
て、これからもずうっとそうでし
ょう。(その場に座りこむ)
(神様、天使達を従えて登場)
(天の邪鬼、神様の後ろに行って
かくれる)
神様
さあ、天使達、出番ですよ。
天の邪鬼
(神様の後ろから顔だけ出し)
出番ですよ。
神様
あの子を応援しておいで。
天の邪鬼
応援しておいで。(天使達に、に
らまれ、おどけた動きで退場)
(ゆっくりと神様も退場)
天使
@ 私達は応援団。
天使
A 「まるでダメ子」を「やればでき
る子」に
天使
B 変身させるお手伝い。
天使
C それが私達の仕事。
天使
@〜C私達は応援団。変身のお手伝い。
呼びかけ
@さあ、立ち上がりなさい。練習す
るのです。
呼びかけ
A初めは、やさしいところから。
呼びかけ
Bそうです。できそうなところから
始めるのです。
呼びかけ
Cそうして小さなステップをひとつ
ずつ
呼びかけ
Dクリアーしていくのです。
(洋子、練習を始める)
呼びかけ
@(公子と沙織に向かって)「まる
でダメ子」だって「やればできる
子」に変身できます。
呼びかけ
Aやってもムダなんて、とんでもな
い!
呼びかけ
B友達なら、洋子さんの変身を応援
してあげるのです。
呼びかけ
Cさあ、あなた方も変身するのです。
呼びかけ
D「バカにする子」から「応援する
子」に変身するのです。
(公子と沙織、洋子の練習の補助
をしたり、アドバイスをしたりし
始める)
呼びかけ
@小さな小さなステップを
呼びかけ
Aいくつもいくつもクリアーし
呼びかけ
Bできない子からできる子に
呼びかけ
Cさあ、変身するのです。
呼びかけ
Dフレーフレー、洋子!
(天使達、呼びかけに合わせて
大きな動作で応援する)
(洋子、開脚とびと側転ができる
ようになる)
呼びかけ
@やったあ!
呼びかけ
A洋子さん、へ〜んしん!
(舞台にいる全員が洋子に拍手を
送る。天使達を残して他は退場)

    場面・3
(神様、ゆっくりと登場。天の邪
鬼も、また、神様の後ろにかくれ
て登場)
神様
ご苦労だった。お前達。
よくやった。
天の邪鬼
(神様の後ろから顔だけ出し)
よくやった。(天使達に、にらま
れ、口を押さえて、ひっこむ)
天使
@ 洋子さんが変身できて、私達も、
とてもいい気分です。
天使
A 他に仕事はありませんか。
神様
ある、ある、大ありじゃ。あれを
見なさい。(OHPで4年1組の
教室の絵を投影し、TPシートを
ゆすって、ガタガタした雰囲気を
出す)
神様
あの、さわがしくて、がんばりが
きかなくて、そうじもできないク
ラスを変身させてきなさい。
(黒子が3人登場し、神様の言葉
に合わせて次のようなプラカード
を掲げてみせる)
天の邪鬼
また無理なこと言っちゃって。
天使
B おまかせ下さい。
天使
C では、行ってまいります。
(天使も神様も退場。入れ替わり
にナレーターが登場)
ナレーター
ここは、神様が変身させようとし
ている4年1組の教室です。
(子ども@〜Iが出てきて、そう
じを始める)
(黒子が「4年1組」と書いたプ
ラカードを持って舞台を横切る)
ナレーター
今はちょうど、そうじの時間です。
(子ども@〜I、ほとんど遊んで
いるような、いいかげんな態度で
そうじをする)

天の邪鬼 (走って出てきて、子どもたちを
集め、指揮をとりながら)
そうじさぼりの歌、サンハイ!
子どもたち
ぼくらなまけもの何にもしない
そうじは上手にさぼりましょう
チンタララ チンタララ
チンタララ チンタララ
さぼりましょう(と、「山の音楽
家」のメロディーで歌う)
ナレーター
おやおや、ひどいそうじ態度でし
たね。次は自習時間です。漢字の
練習をすることになっているよう
です。
(子どもたち、漢字練習を始める
が、すぐにあきて、遊び始める)
天の邪鬼
(また走って出てきて、指揮をと
りながら)
漢字さぼりの歌、サンハイ!
子どもたち
わたしゃなまけもの何にもしない
漢字の練習、大きらい
書かないわ書かないわ
漢字なんか〜(と、「山の音楽家」
ナレーター
のメロディーで歌う)
天使
@ おやおや、ひどい自習態度ですね。
みんな、そうじも漢字練習もしっ
かりやらないといけないわ。
悪夫
@ そんなの、いいかげんで、いいん
だよ。
悪夫
A そうだよ、適当にやっときゃいい
んだよ。
天使
A 明日は漢字テストがあるわ。
天使
B みんな、練習しなくちゃ!
悪子
@ いやだ。そんなの、めんどうよ。
悪子
A どうせ私は、百点なんか、取れっ
こないし。
天使
C (他の天使達と顔を見合わせ)
これは大変。今度の相手は手ごわ
いですね。

   場面・4

(神様、ゆっくりと登場。その後
ろにくっついて天の邪鬼も登場)
神様
天使達、困っているようだな。
天の邪鬼
だから、言ったでしょ。
神様
よし、ここから先は、私に任せな
さい。
天の邪鬼
また、えらそうに。そんなこと言
っちゃっていいの?
(天使達、退場)
神様
子どもたち、出てきなさい。
(と、舞台の下にいるあきら・さ
とし・まさやを呼んで言う)
お前たちは洋子が変身したのを知
っている。洋子といっしょに公子
も沙織も変身したのを知ってい
る。どうじゃな。今度はお前たち
が、あのクラスを変身させてはく
れないか。
天の邪鬼
無理、無理。やめといたら?
あきら
(神様に向かって)いいですけど
でも、どうやって?
神様
簡単じゃ。まず、お前たち自身が
変身する。そうしたら、わしがお
前たちを、あのクラスに送りこむ。
それで万事OKじゃ。
さとし
うん!こっちの変身もおもしろそ
うだ。
まさや
ぼくも!何だか本当に変身できそ
うな気がしてきた。
あきら
じゃあ、ぼくはきちんと話の聞け
る子に変身!(ポーズを決める)
さとし
ぼくは、がんばりぬく子に変身!
(ポーズを決める)
まさや
ぼくは、そうじのできる子に変
身!(ポーズを決める)
神様
ようし、それ行きなさい。
あきら
了解!(3人、走って退場)
ナレーター
再び4年1組の教室です。
(黒子、「4年1組」のプラカー
ドを見せながら舞台を横切る)
(先生と子どもたち@〜I登場。
子どもたち
@〜Iは席につく)
(先生が話し始めるが、子どもた
ち@〜Iは、おしゃべりをしてい
て聞こうとしない)(あきら・さ
とし・まさや、そっと子どもたち
@〜Iの中にまぎれこむ)
あきら
静かに。先生の話が聞こえないよ。
さとし
そうだ。これじゃ聞こえないよ。
まさや
もっと静かにして話を聞こうよ。
(子どもたち、静かになる)
先生
このくらい、しっかり話が聞ける
といいですね。では、そうじをし
ます。5時間目には漢字テストを
します。そうじが終わったら練習
しておきなさい。
あきら
さあ、そうじをしようぜ。
さとし
み〜んなでやれば、こわくない。
まさや
そうじなんか簡単さ。
悪夫
@ よし、つきあうか。
悪夫
A みんなでやれば早いもんな。
あきら
そうさ、どうせやるなら
さとし
み〜んなで!
あきら
どうせやるなら
まさや
たの〜しく!
悪夫
@A おう、まかしとけ!
(全員、熱心にそうじをする)
あきら
(そうじを終えて)よし、次は漢
字テストだ。
さとし
練習しておこうぜ。
まさや
ぼくは、もうやってるよ。
悪夫
@ あいつら、やけに張り切ってるな。
よし、おれもやるか。
悪夫
A ついでだ。おれもやるか。
悪子
@ 私もやろうかな。
悪子
A それじゃあ、私がちゃんと書けて
いるかどうか、見てあげる。
あきら
そうだよ。どうせ百点取るなら
さとし
みんなで百点取ろうよ。
まさや
よし、目指せ、全員百点!
(全員、熱心に漢字練習を始める)
(しばらくして先生、登場)
先生
(周りを見渡してから)今日のそ
うじは、よくできていますね。漢
字の練習も進んでいるようだし、
さっそくテストを始めましょう。
用意、始め。
(できた子から先生に見せに行く。
次々に百点を取り、喜びあう子ど
もたち。最後の一人が出したテス
トに、全員が注目する)
先生
(静かにテストから顔を上げ)
百点です。
子どもたち
やったあ!
悪子
@ 先生、お祝いの歌を歌おうよ。
悪夫
@ いいね、歌おうよ。
先生
では、お祝いの歌、サンハイ。
子どもたち
♪おめでとう  おめでとう
おめでとう おめでとう
漢字テスト百点 全員百点
おめでとう おめでとう
おめでとう おめでとう♪
先生
続いて2番!
子どもたち
♪やったね〜 やったね〜
やったね〜 やったね〜
みんなの力だ クラスの力だ
やったね〜 やったね〜
やったね〜 やったね〜♪
(全員で拍手をしあう)
あきら 先生、お祝いの会もしましょう。
さとし
全員百点なんて素晴らしいことで
すから。
先生
そうしましょう。
悪夫
@ やったぜ!
悪夫
A おれ、プログラム考える係!
悪子
@ 私、会場の飾りつけ係!
悪子
A あ、ずるい。じゃあ私はおやつ係!
まさや
まあ、まあ。みんな、あっちへ行
って相談しようぜ。
子どもたち
オーッ!(子どもたち、退場)
(それをニコニコと見送ってから
先生
も退場)

  場面・5
ナレーター
よかったですね。これで4年1組
も少しずつ変身できそうです。
見て下さい。あそこで神様達も喜
んでいます。
(神様と天使達、舞台中央で喜び
合う。天の邪鬼がその周りをバン
ザイをしながら走り回る)
ナレーター
あれ?天の邪鬼まで喜んでいます
よ。めでたし、めでたし。

  フィナーレ

BGMを流し、全員、舞台に並び
右手を上げて、右方に礼。
左手を上げて左方に礼。
両手を上げて正面に礼。
〜幕〜

指導のポイント

1.役を決めるのはオーディションで
 なぜ、オーディションなのか?これをすると、配役が決まった時点で、演技が八割方できてしまうからである。オーディションで、やりたい役を勝ち取るために、子ども達は
○台詞を覚えてくるし
○届く声を出そうとするし
○台詞の言い方を工夫するし
○動作を工夫したりするからである。


2.オーディションの手順
(1)本番1ヶ月前には、台本を配る。   
(2)オーディションのやり方と、いつやるかを教える。
(3)オーディションをする。
  希望者が多い役から、決めていく。
  何回、立候補してもよいことにする。
 @届く声で決める。
 「神様」の役に立候補した子が10人いたとする。10人全部を体育館の舞台の上に立たせ、
  教師は体育館の最後方に立つ。短い台詞を言わせ、教師の所まで声が届いたら、第一次関門突破とする。
 A台詞の言い方で決める。
   第一次関門を突破した子を集め、少し長い台詞を言わせる。台詞の言い方が自然で、
   はっきり聞き取れる子を、第二次関門突破とする。
 B動作で決める。
   第二次関門を突破した子を集め、台詞に合った動作を要求する。より自然な動作ができた子を
   「神様」役に決める。

3.個別評定で演技を磨く
@届く声で台詞が言えたか。
A自然な話し方で台詞が言えたか。
B台詞に合った動作・表情ができたか。
C台詞のない時の演技ができているか。
D視線の演技ができているか。
E間(マ)の演技ができているか。


 上記のようなポイントを決め、個別評定を重ねる。「体育館の後ろまで声が届いた。5点!」「台詞がない時も動きを工夫していた。8点」 のように。「1回の個別評定で、1つのポイントを、全員クリアー」を原則に進める。本番前には、どの子も「合格した!」という自信をもって舞台に立てるようにするためである。

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