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学芸会脚本
〜ふしぎなメガネ〜

浅川 清(TOSS相模原)

ナレーター 私たちには心があります。
よろこび!(表現@)
かなしみ!(表現A)
そして、いかり!(表現B)
もし、この心が目に見えたら、
どうでしょう。
心が見える、ふしぎなメガネが
教えてくれたものは何か。
さあ、私たちの劇を見ながら
いっしょに考えてください。
〜エピソード@〜
ナレーター ある日のこと・・・
つよし よしお、今日いっしょに遊ぼうぜ。
よしお う〜ん、今日はダメなんだ。
つよし どうして?遊ぼうぜ。
よしお だけど・・・
つよし チェッ、いいよ。 じゃ、あばよ。
(他の3人に向かって)
おい、もう、あいつと遊ぶなよ。
いいな!
たけし おう!
たくみ 分かった!
とおる まかしとけって!
ナレーター 次の日のことです。
よしお (つよし達が遊んでいる所へ来て)
あの・・・ぼくも入れて。
(つよし達に無視される)
入れてよ。
たけし やだね。
たくみ あっち、行けよ。
(よしお、すごすごと去る)
とおる やだね、よしおって。
たくみ ほーんと!
たけし 無視、無視!
ナレーター その次の日も、そのまた次の日も
よしお は仲間に入れてもらえませ
んでした。それどころか、毎日い
やみを言われ、すっかり元気をな
くしてしまいました。
そんな、ある日・・・
つよし あ、よしおだ。また、からかって
やるか。
うん?何だ、これ?メガネか?
(メガネをひろって、かける)
わっ!
(頭をかかえて、しゃがみこむ)
心の声 @ いやだよ。つらいよ。さびしいよ。
もう、こんなのいやだよ。
表現C)
(つよしがメガネを外すと、心の
声も表現もパッと消える)
つよし 今のは何だったんだ?このメガネ
をかけたら(と言いながらメガネ
をかける)わっ!まただ!
心の声 A くやしいよ。
ぼくが何をしたっていうんだ。
ぼくは何も悪いことしてないの
に。
表現D)
(つよしがメガネを外すと、心の
つよし 声も表現もパッと消える)
もしかすると、このメガネは
心が見えるメガネなのかな?
(またメガネをかけ、指のすき間
心の声 B から、よしおの方を見る)
いやだよ。つらいよ。
いやだよ。つらいよ。
表現E)
(つよしがメガネを外すと、心の
声も表現もパッと消える)
つよし やっぱり、そうだ!このメガネは
心が見えるんだ!
よしお のやつ、あんなに苦しんで
たのか。(また、メガネをかける)
心の声 C もとのように、いっしょに遊びた
いのに、なんでぼくだけ、こんな
目にあうんだろう。
表現F)
つよし (メガネを外して、よしおにかけ
より)ごめん!ごめん!よしお。
ちっともおまえの気持ちを考えな
くて。おれって本当にいやなやつ
だったよ。
よしお ・・・
つよし また、いっしょに遊べるか?
よしお ・・・ (うなずく)
つよし ありがとう!じゃあ行こうか。
(つよし、メガネをかけて、よし
おと肩を組み退場)
心の声 D うれしい!うれしい!うれしい!
表現G)
ナレーター 心が見えるメガネのおかげで
ひとつ大人になった
つよし君でした。
  〜エピソードA〜
ナレーター また、ある日のこと・・
(けんたとまもるがキャッチボー
ルをしているところへ、つよしが
通りかかる)
つよし あ、けんたとまもるだ。
あの二人、いつもいっしょだ。
よっぽど、仲がいいんだな。
よし、ちょっと見てみよう。
(つよし、メガネをかける)
けんた おい、まもる。おれがピッチャー
で投げるから、おまえはキャッチ
ャーな。
まもる うん。
(けんたが投げてまもるが取る)
心の声 E ぼくも投げてみたい。キャッチャ
ーばかりじゃつまらない。
表現H)
つよし あれっ?
けんた 今度はサッカーにしようぜ。おれ
がシュートするから、おまえはキ
ーパーな。
まもる ・・・うん。
(けんたがシュートして、まもる
が守る)
心の声 F ぼくだってシュートしたいよ。シ
ュートする方が楽しいもの。けん
た君ばっかりシュートしてずるい
や。
表現I)
つよし おや、おや。
けんた おい、今度は馬とびしようぜ。
まもる あ、じゃあ、ぼくとびたい。
けんた 何言ってんだよ。おまえは馬に決
まってるだろ。おれが、とぶの!
まもる う・・・うん。
けんた さあ、とぶぞ。用意、用意。
(けんたがとび始める)
心の声 G つまんない役ばっかり。
つまんない、つまんない。
ぼくだってとびたいよ。
表現J)
つよし 見てらんないなあ、これじゃ。
ちょっと、ちょっと、けんた。
(つよし、けんたに耳うちし、メ
ガネを貸す)
あ、まもる君。今度はぼくがとぶ
からね。はい、馬になって馬にな
って〜。
(つよしがとび始める)
心の声 H つまんない、つまんない。
ぼくだってとびたいよ。
シュートだってしたいよ。
ピッチャーだってしたいよ。
つまんない役ばかりで、ひどいよ。
表現K)
けんた (つよしにメガネを返し)
まもる、今度はおれが馬だ。とん
でみなよ。
まもる うん!
(まもるがとぶ)
けんた そうだ!まもる。今度はおまえが
シュートしてみなよ。おれが守る
から。
まもる いいの?ようし、思い切りシュー
トするぞ〜。
(つよし、メガネをかけて二人を
見守る)
心の声 I うれしいな。やっとシュートでき
るぞ。やっぱりシュートする方が
楽しいや。うれしい、うれしい!
表現L)
けんた まもるが、あんなに喜んでる。
何だかこっちまでうれしくなっち
ゃうよ。
つよし君、ありがとう。そのメガ
ネ、いつかまた貸りるかも。

つよし いいよ。じゃあね。
(3人とも退場)
ナレーター ふしぎなメガネは、けんた君にも
友達を思いやる気持ちをプレゼン
トしてくれたようです。
 〜エピソードB〜
ナレーター また、ある時・・・
(めぐみがしょんぼりしている)
(つよしが、それに気づき、もの
かげから見ている)
(伊代と佳代と雅代が通りかかっ
てめぐみに気づき、話しかける)
いよ どうしたの?めぐみ。
かよ 元気ないじゃない。先生に叱られ
たの?
めぐみ 当たり!(と、思わず大声で言っ
てから、うつむく)
まさよ どうして叱られたの?
めぐみ うん、私、まだ九九が全部言えな
くて・・・「もう3年生なんだか
ら覚えなくちゃダメです!」って
叱られちゃった。
いよ なあんだ。そんなこと?
気にしない。気にしない。
かよ そうよ。九九なんかできなくたっ
て平気よ。それより、うちに来な
い?新しいゲーム買ったばかりな
んだ。
いよ 行こうよ、めぐみ。いやなことは
忘れて楽しく遊ぼ!
めぐみ う、うん。まさよも行く?
まさよ 行かない。
かよ どうして?
(つよし、メガネをかける)
まさよ めぐみ、やっぱり九九は覚えなく
ちゃ。今はゲームより九九を覚え
る方が大切よ。
いよ わあ、いやだ、この人、先生と同
じこと言ってる!
かよ ひとりで、いい子ぶっちゃって、
い・や・みー。
(めぐみ、両者の間に立って困っ
ている)
(つよし、メガネをめぐみにわた
す)
つよし 見てごらん。どっちが本当の友達
か分かるから。
(めぐみ、メガネをかける)
心の声 J いいよ。いいよ。どうでもいいよ。
九九なんかどうでもいいよ。つい
でに、めぐみもどうでもいいよ。
私には関係ないもん。新しいゲー
ムで遊べればそれでいいもん。
表現M)
心の声 K がんばらなくちゃ、めぐみ。あな
たのためだもの。今は九九をがん
ばらなくちゃ。やってみようよ。
おうえんするから。
表現N)
(めぐみ、メガネを外し、まさよ
にかけよる)
めぐみ まさよ、私、がんばってみる!
まさよ うん!
めぐみ モタモタしちゃうと思うけど、お
うえんしてくれる?
まさよ もちろんよ!
(めぐみ、九九を唱えながら退場)
(まさよ、めぐみのまちがいを直
してやりながら退場)
(つよし、メガネを持ってVサイ
ン)
ナレーター ふしぎなメガネのおかげで、本当
の友情に気づいためぐみさんでし
た。
つよし君も、なかなかやりますね。
 〜エピソードC〜
ナレーター また、ある日のこと・・・
(あきことさとこの二人、上手と
下手から登場する。舞台の真ん中
あたりで、すれちがう。二人共、
つんとして顔をそむける。そのま
ま舞台のはじまで行って、二人共
立ち止まり、振り返る)
つよし あれ、あきこさんとさとこさんだ。
いつも仲がよかったのに、どうし
たんだろう・・・ようし。
(つよし、メガネをかける)
心の声 L もっと早くあやまればよかった。
あんなに意地を張るんじゃなかっ
た。仲直りして、またいっしょに
遊びたいなあ。
表現O)
つよし そういうわけか、よし!
(あきこに、かけ寄り)
おい、あきこさんが、おまえにあ
やまりたいって言ってたぞ。
(次に、さとこに、かけ寄り)
おい、さとこさんが、おまえにあ
やまりたいって言ってたぞ。
(あきことさとこ、両方から近寄
って、舞台の真ん中あたりで向き
合う)
あきこ ごめんなさい。
さとこ わたしこそ、ごめんなさい。
あきこ もう、おこってない?
さとこ うん!
(二人、うでを組んで退場)
つよし あの二人の、今の気持ちは、もう
メガネなんか、かけなくても分か
るさ。
心の声 M うれしい!やっと仲直りできた。
またおしゃべりできるのが、こん
なに楽しいなんて。うれしい!
表現P)
つよし やったね。ぼくって本当に、いい
子だなあ。
〜エピソードD〜
ナレーター さて、さて、またそんなある日の
こと・・・
(なわとびをしている、つよしの
前を、つねことのぶこが通りかか
る)
つねこ 何よ!あんた、生意気よ!
もう、口もきいてやらないから!
のぶこ 私は、そんなつもりじゃ・・・
つよし あ〜あ、お〜い、このメガネ、貸
してやるよ。
(つよし、二人を追いかけて退場)
ナレーター 心が見えたら?
ふしぎなメガネは、あなたの心の
中にも、きっとあります。
    〜フィナーレ〜
BGMにのって、
数人ずつ舞台に登場し、
全員並び終わったら、
右手を上げて、右方に礼。
左手を上げて左方に礼。
両手を上げて正面に礼。
〜幕〜

      キャスト
つよし(   ) よしお(   )
たけし (   ) たくみ(   )
とおる (   )
けんた(   ) まもる(   )
いよ  (   ) かよ (   )
めぐみ (   ) まさよ(   )
あきこ (   ) さとこ(   )
つねこ (   ) のぶこ(   )
心の声 表現
@( ) @(   )
A( ) A(   )
B( ) B(   )
C( ) C(   )
D( ) D(   )
E( ) E(   )
F( ) F(   )
G( ) G(   )
H( ) H(   )
I( ) I(   )
J( ) J(   )
K( ) K(   )
L( ) L(   )
M( ) M(   )
ナレーター (   ) N(   )
O(   )
P(   )
※「心の声」と「表現」は、いくつかのグルー プを作って分担させる。
  スタッフ
照明(   )(   )(   )
OHP(   )(   )(   )
音楽(   )(   )(   )
※スタッフは複数にし、交代でキャストとして 舞台にも立てるようにする。
※OHPは舞台の壁に背景を映すのに使う。

演出のポイント

1.登場人物の内面の声を表現する
 「心の声」と「表現運動」と「音楽」と「照明」の4つの効果で、登場人物の心の声を表現するのが、この劇の特徴である。   
(例・1)ナレーターが「よろこび!」と言うのに合わせて
@「表現」の子は、喜びを表す身体表現をする。
A「音楽」の子は、喜びを表す音楽を演奏する。
B「照明」の子は、喜びを表す色の照明を、
 「表現」の子に当てる。
(例・2)「心の声」の子が「いやだよ。つらいよ。さびしいよ。もう、こんなのいやだよ」と言うのに合わせて
@「表現」の子は、辛さを表す身体表現をする。
A「音楽」の子は、辛さを表す音楽を演奏する。
B「照明」の子は、辛さを表す色の照明を、
 「表現」の子に当てる。


2.役を決めるのはオーディションで
 なぜ、オーディションなのか?これをすると、配役が決まった時点で、演技が八割方できてしまうからである。オーディションで、やりたい役を勝ち取るために、子ども達は
○台詞を覚えてくるし
○届く声を出そうとするし
○台詞の言い方を工夫するし
○動作を工夫したりするからである。

 以下にオーディションの手順を示す。
(1)本番1ヶ月前には、台本を配る。   
(2)台本を読んで聞かせる。
(3)オーディションのやり方と、いつやるかを教える。
(4)オーディションをする。
 希望者が多い役から、決めていく。何回、立候補してもよいことにする。
 @届く声で決める。
 「つよし」の役に立候補した子が10人いたとする。10人全部を体育館の舞台の上に立たせ、
  教師は体育館の最後方に立つ。短い台詞を言わせ、教師の所まで声が届いたら、第一次関門突破とする。
 A台詞の言い方で決める。
  第一次関門を突破した子を集め、少し長い台詞を言わせる。台詞の言い方が自然で、
  はっきり聞き取れる子を、第二次関門突破とする。
 B動作で決める。
  第二次関門を突破した子を集め、台詞に合った動作を要求する。より自然な動作ができた子を
  「つよし」役に決める。


3.個別評定で演技を磨く

@届く声で台詞が言えたか。
A自然な話し方で台詞が言えたか。
B台詞に合った動作・表情ができたか。
C台詞のない時の演技ができているか。
D視線の演技ができているか。
E間(マ)の演技ができているか

 上記のようなポイントを決め、個別評定を重ねる。「体育館の後ろまで声が届いた。5点!」「台詞がない時も動きを工夫していた。8点」 のように。
 「1回の個別評定で、1つのポイントを、全員クリアー」を原則に進める。本番前には、どの子も「合格した!」という自信をもって舞台に立てるようにするためである。

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