なぜ成功体験か? 非行に走った子の共通点のひとつに「成功体験ゼロ」があるという。クラスに集まった子ども達ひとりひとりをみていても、なるほどとうなずける説である。これまでに成功体験を積み重ねてきたであろうと思われる子は、自信に満ちて伸びやかである。積極的に何にでも挑戦しようとする。反対の場合は、何事にも自信がなく、「やるぞ!」という覇気に乏しい。
だから、新しくクラスを受け持ったとき、まず最初にするのは「成功体験を仕掛ける」ことである。「やった!」「できた!」という思いを、どの子も味わうことができるような成功体験を仕掛けていく。学び方を教え、努力の継続の仕方を教え、「できた!」という事実をつくっていく。
いくつも仕掛けていくうちに、「全員できた!」という体験をさせることも可能になる。そうするとクラスの中に、「どの子もできた!」「どの子もがんばれた!」「どの子も輝くことができた!」という共通認識が生まれる。
この共通認識があれば、「差別」を許さないクラスができる。ひとりひとりが、本当に友達を大切にすることができるから、「差別」を許してしまう自分達の弱さとたたかうことができる。自分達の弱さと向き合い、それを克服したとき、子ども達は確実に一歩成長する。そうなると、本当にひとりひとりが伸び伸びと成長していけるクラスができる。
成功体験を仕掛けることによって、ひとりひとりが輝くクラスがつくれるのである。
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