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高学年に生き方を考えさせる道徳の授業A
同時多発テロ事件から学ぶ
〜何が争いを生むのか〜

浅川 清(TOSS相模原)

 2001年9月11日、アメリカで同時多発テロ事件が起きた。
世界貿易センターが崩壊していく映像をテレビで見た。


 なぜ? なぜ、こんなことが?!
 

という疑問が頭の中で渦を巻いた。

 書店に走った。週刊誌を9冊、単行本を4冊買ってきて、「なぜ?」の答えを探した。

 インターネット上にある情報も探して読んだ。

 「二十一世紀世界の民族紛争」(福岡政行監修・主婦と生活社)という本が、
 私の「なぜ?」に最も多く答えてくれた。


  ○宗教には、一神教と多神教があること
  ○世界三大宗教というものがあること
  ○それは、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教であること
  ○3つの宗教は、全て、一神教であること
  ○三つの宗教のルーツは、同じであること
  ○何千年も前から、3つの宗教が争いを繰り返してきたこと
  ○三つの宗教の聖地が同じ場所にあること
  ○大国のエゴが、争いを拡大してきたこと
 

 これらの事実から

 人と人が争うことの愚かしさ

が、くっきりと見えてきた。「これを授業したい!」と強く思った。 
資料を整理し、授業の組み立てを考えた。

「事件の背景に何があったのか?」
〜事実を教える〜
 
「争い」を生むのは何か?    
〜事実をもとに考えさせる〜

1.同時多発テロ事件の写真(拡大コピー)を見せ、何が起きたのかを示す

 ○ビルに突っ込む飛行機    ○炎上するビル    ○窓から飛び降りる人々

  ○怪我をして手当を受ける人 ○崩壊するビル    ○逃げまどう人々

2.2枚の写真を見せる

 「事件を嘆き悲しむ人々の写真」と「事件に拍手喝采をする人々の写真」


発問1  
2枚とも、同時多発テロのニュースを見ている人達の写真です。
2枚の写真を見て、分かったこと・気づいたこと・思ったことを書きなさい。箇条書きです。


○片方は泣いているのに、片方は笑っている。

○子ども達がうれしそうにバンザイをして笑っている。

○こんな悲惨な事件なのに、なぜ笑っているのか。

○アメリカと対立している国なのか。

○子ども達はどういう教育を受けているのだろうか。

3.様々な事実を、資料を提示しながら教える

@一神教と多神教の違い(前掲書P14の地図)

A世界三大宗教の共通点と相違点(同じくP31とP43の比較表)

B世界三大宗教の争いの歴史 (同じくP65の年表)

Cパレスチナの取り合いの歴史(同じくP193の地図)

Dパレスチナ難民の歴史(同じくP57の地図)

E増え続けるアフガニスタン難民(週刊誌からの写真)

F大国のエゴが争いを生んだり拡大してきたりしている事実(前掲書P192)


4.事実をもとに「争いを生むのは何か」を考えさせる 
           

発問2   争いを生むのは何ですか?
 
○自分さえよければという考え。   

○自分達と違う考えは、絶対に認めないという狭い心。 
          
○憎しみが、また次の憎しみを生む。      


5.皮肉な事実に気づかせる


指示1   「宗教」の意味を辞書で調べてみなさい。
 
○神や仏を信じることによって、安心や幸福を得ようとすること。


6.歴史学習の意味に気づかせる

発問3   歴史は何のために学ぶのですか?
 
○同じ過ちを繰り返さないようにするため

○これからどうすればいいかを考えるもとにするため

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