(C)インターネットランド /小学校/5年生、6年生/国語/パラドックス

やんちゃ坊主も熱中する国語の授業H 
「吾輩は猫である」のパラドックスに気づかせよう
[台本]

浅川 清(TOSS相模原)

読みます。(手で合図)
(3つ読んだら)何か気がついた? ・・・・・・・そうですね。

(猫に○をつけてから)ここにある「猫」という言葉には、
どんなイメージがありますか?
(3〜5人に聞く)・・・・・・・・ (○を消す)

この文を読んで、分かったこと・気づいたこと・思ったこと
何でもいいですから書いてごらん。
(3〜5人に聞く)

「吾輩」、英語で言えば「アイ」です。
同じように「アイ」という意味になる日本語をさがします。

ノートに、このように書きます。
(1人に聞く)そう、そういうのでいいんですよ。
まだ1つも書いてない人?お友達が言ったのを書いてごらん。5つ以上書けた人?
(手を上げた人に発表させる)

いっぱいありましたね。

では、「である」の方は、どうでしょう?
ノートのここに、書いていきなさい。
5つ以上書けた人? (指名して発表させる)

いっぱい、ありましたね。
読んでみます。
「私は猫です。」〜「おいどんは猫でごわす」 

「吾輩は〜である」という言い方に、「猫」は合いますか?・・・・・ 合いませんね。

では、□に、ぴったり合う言葉は、どんな言葉ですか?
書いてみなさい。
(3人に聞く)

こんな言葉が合いますね。
□にあてはめて読んでみます。
「吾輩は王である」〜「吾輩は政治家である」

「猫」と「王」を対比させてみます。
「猫」と「王」の違いを、漢字一文字で書いてみなさい。
書けたら起立。(発表させる)

こんなのも、こんなのも、こんなのも、いろいろ考えられます。

普通は「王」のような言葉が合うのに
それとは逆のイメージの「猫」が使われています。

これをパラドックスと言います。

表現上の矛盾です。
では、なぜ、パラドックスが必要だったのでしょうか?
夏目漱石・作「吾輩は猫である」、9ページを読んでみます。
「吾輩のうちの主人が、このわがままで失敗した話しをしよう」の後に、
こんな文章があります。

「この主人は何といって人に優れてできることもないが〜胃弱のくせに、いやに熱心だ。」
笑われているのは誰ですか?・・・・・・・・「主人」ですね。
笑っているのは誰ですか?・・・・・・・・・「猫」ですね。

「猫」が「主人」を笑っています。

この「主人」のモデルは誰でしょう?

漱石ですね。

この「猫」の目は、誰の目ですか?

漱石ですね。

漱石が漱石を笑い飛ばす
自分で自分を笑い飛ばすための、パラドックスだったのです。
終わります。

「吾輩は猫である」のパラドックスに気づかせよう[指導案]

TOPページ ご意見・ご感想 TOSSランド TOSS相模原